理想的なピッチングフォームですか?チェックしておきたい必須項目
みなさん自分の投球フォームが
- 肩や肘にかかる負担が少ないケガになりにくいフォームなのか
- 球速が出やすいフォームなのか
気になりますよね?
フォームチェックは真横からの連続写真でされることが多いと思いますが、
一つの方向からだけだと
三次元で高度な動きをしているピッチングのメカニクスを正確にチェックすることはできません。
ということで今回は投球フォームを後ろ(2塁側)からみたときのチェックポイントについて話していきます。
後ろから見ないと分からない投球フォームの修正点があったりします。
特にスピードボールを投げるためには欠かせない【割れ】が作れているかどうかは後ろから見るととてもわかりやすいので、みなさんぜひ自分の投球フォームをチェックしてみてください。
この記事の目次
投球フォームのチェックは横・正面・後ろの3方向が理想
最初に話した通り投球フォームのチェックはいろんな方向から行い、フォームの課題を探していく必要があります。
例えば、投球フォームを横から見たときはステップ足が着地したフェーズを切り取ってチェックするようにしましょう。
テイクバックを正しくとれているかなどをチェックすることができます。
また、横からのフォームチェックでは球速に直結する「全身のしなり」をきちんと作れているかチェックすることができます。
詳細は下の記事で話していますので、もしよければご覧ください。
正面(キャッチャー目線)からのフォームチェックではリリースポイントが前にあるかを確認できます。
少年野球の選手に多い肘が下がることのデメリットについても紹介しています。
理想的なピッチングフォームか後ろから見てみよう
今回は後ろ(2塁側)からみて理想的な投球フォームかチェックするときの項目について話していきます。
体重移動のフォームェックのポイント
まず体重移動のときのチェックポイントについてです。
体重移動のときに股関節にしっかりパワーをためることができているかをみていきましょう!
沈み込みでお尻が後ろに引きこめているか(膝が前に出すぎていないか)
体重の沈み込みでお尻を後ろに引き込むことができているか(膝が前に出すぎていないか)
ヒップヒンジというのですが、上の写真のようにお尻を背中側に引き込んでパワーをためた状態で体重移動することが大切です。
その状態を作れていると、ステップ足が着地した後の回転運動でそのパワーを一気に開放することで
大殿筋などのお尻周りの力が入りやすくなり、回転運動で骨盤の回転スピードが速くなり、球速も上がりやすくなります。
分かりやすくいうと、下半身からのパワーが効率よく上半身に伝わるということです。
よくない例は上の写真の体幹が反っている例です。
つま先に体重が乗りすぎていたりすると、その動きにつられて膝が前に引き出されてしまいます。
そうすると、全身の重心バランスの関係からヒップヒンジを作ることがとても難しくなり、体幹が直立したままになってしまいます。
膝が前に出ると
- ヒップヒンジができない(お尻の引き込みがない)
- 体幹が直立になる
だいたいこのパターンにはまります。
このパターンでは骨盤→体幹→腕へと連動した回転運動はできず投球パフォーマンスも上がりません。
プロ野球選手のフォームを見てください。
スムーズにヒップヒンジができていますよね。それだけ球速アップのために重要な動作だといえます。
後ろから自分のフォーム見て「膝が前に出すぎている&ヒップヒンジがない」
こんな選手はフォーム修正の必要アリです!
ヒップヒンジを作るためには骨盤の操作能力を高める必要があります。それにはちょっとしたコツがあり、そのトレーニング方法は下の記事で紹介していますので参考にしてください。
「く」の字になっているか
体幹から下半身にかけてのラインでくの字ができているか見てみよう
くの字を作れていると
- 回転運動で体幹がターンできる量が増えて全身を加速しやすくなる=球速アップ
- 腕だけを無理やり回したテイクバックになりにくい=ケガ予防
というメリットがあります。
このくの字はさきほどのヒップヒンジと関係していてヒップヒンジができていれば自然にくの字ができていることが多いです。
というのも、お尻を引き込んでいるのに体幹が直立したままだと、体全体の重心が背中側に大きくかたよってバランスをとりずらくなるからです。
ヒップヒンジができていると重心バランスを無意識にバランスを調整して勝手にくの字になりやすくなります。
自分のフォームをチェックしたときに「ヒップヒンジはできているのに体幹が直立している」
という選手は
- 背中側に重心がかたよった体重移動になり、アウトステップや開きの早いフォームになりやすい
- お尻周りを使わずに大腿四頭筋などの太もも前側に頼った体重移動になるので疲れやすい
- 回転運動をスムーズにできない
このようなデメリットがあるのでフォーム修正する必要があります。
ヒップヒンジをしたときにほんの気持ち体幹を前屈みにするように調整してみてください。
テイクバックのフォームチェックのポイント
次はテイクバックについてです。
テイクバックの取り方がよくないと肩・肘に負担がかかりやすくなるだけでなく、球速アップに欠かせない全身のしなりを作りにくくなってしまいます。
とても大事なチェックポイントなので一緒に確認していきましょう。
手の甲の向きを見てみよう
- テイクバックの上げはじめに小指が上向きになっているか
- 手の甲が上向きになっている場合は修正するべきポイント
テイクバックの上げ始めから手の甲が上向きになっていると回転運動で肩の外旋が出にくく、しなりが浅くなりやすいです。
テイクバックの始めで手の甲が上向きの例です。
上げ始めで手の甲が上向きだとそのままテイクバックが進みます。
そうなると回転運動でしなりが始まるときに本来は青矢印の方向に右肩が回旋(肩の外旋)してほしいのが、
手の甲を耳に近づける動き(肩の外転+肘の屈曲)ばかりが強くなってしまいます。
その結果、1番しなる瞬間に腕が青矢印の方向に入ってこずに深いしなりが作れずにスピードボールを投げることもできなくなります。
テイクバックの始めから手の甲が上向きでも体幹を傾けることで深いしなりを誘導しているピッチャーもいるのですが、体の操作としては難しく、ジュニア選手は修正することをオススメします。
テイクバックの上げ始めに手の甲が上向きでしなりが浅い&球速がなかなか伸びない
このような選手は小指からスッと腕を上げてテイクバックをとる方法を試してみてください。
腕のしなりが出やすくなり、球速がUPするかもしれませんよ。
腕だけで無理やり後ろにひいていないか
2つ目のチェックポイントです。
テイクバックの途中を見てみましょう。
- 腕だけが背中側に入りすぎていないか
- ユニフォームの右半身のロゴがきちんとみえているか
上の写真を見てください。
一見背中側に大きく入っていてよくないように見えるかもしれませんが、これは問題ありません。
その理由は
鎖骨・肩甲骨・体幹を動かしたうえに腕を上げていて腕だけを無理やり後ろに引いているわけではないからです
ユニフォームの体幹右半分を見てください。
ロゴがしっかり見えていますよね。
つまり、きちんと体幹のひねりが入ったうえで腕を上げることができているということになります。
反対に
ユニフォームのロゴが見えずに腕だけが後ろに大きく引けている場合は要注意です。
その場合は、テイクバックをとるときに腕が背中側に入るのではなく、2塁側に向けて上げるようにしてみましょう。
ステップ足が着地したときのフォームチェックのポイント
次はステップ足が着地した瞬間を切り取って後ろから理想的なピッチングフォームであるかチェックしてみましょう。
「割れ」ができているかは後ろからチェックしよう
最後はステップ足が着地した瞬間に割れができているかをチェックします。
169km/hを投げたチャップマンの投球フォームを見てください。
ものすごいしなっているのが分かると思います。
ステップ足が着地した瞬間がこんな感じです。理想的なピッチングフォームですね。
ユニフォームのロゴが大きく見えていますが、胸が開くことで腕がかなり後ろに入っているのが分かります。
ここまでしならせるのは至難の技ですが、自分がどれくらいしなれているか他の選手と見比べたりしてチェックしてみましょう。
腕が後ろに大きく引けている選手ほどストレートの球速が速い傾向があった。ピッチング中に大きな力を生み出すために重要な動作になる。
ピッチングのバイオメカニクス研究でもパフォーマンスを高めるために重要なポイントとして挙げられています。
割れを作るうえでみなさんに必ず注意してほしいことがあります。
肩よりも肘が背中にあるほど球速が出やすいのですが、腕だけでテイクバックをとらないということです。
割れは鎖骨の可動性、肩甲骨・肋骨の柔軟性など全身の可動域があってこその動きです。
特に、鎖骨は肩鎖関節を介して肩甲骨と連結していて鎖骨が動かないことには肩甲骨の可動域は上がりません。
「鎖骨の可動性」というと聞き慣れないかたが多いと思いますが、ピッチャーにとってものすごい大切です。
詳しい解説は下の記事でしていますので、もしよければそちらも読んでみてください。
まとめ
今回、理想的なピッチングフォームか後ろからみたときのチェックポイントについて紹介しました。
後ろからチェックすることで
- 股関節をきちんと使えているか
- 全身のバランスが整っているか
- テイクバックで腕の使い方に問題がないか
- 球速アップに大切な割れを作れているか
これだけのたくさんのヒントがあります。
真横だけでなく、後ろからもフォームチェックと修正を行い、理想的なピッチングフォームを手に入れるようにしましょう。
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