プロ野球の自由契約とは何か?解雇・戦力外・任意引退などについても解説!
自由契約とはどの国内外を問わずどんな球団とも契約交渉をすることが出来る状態のことです。今回の記事では自由契約やそれに類似する用語の意味、自由契約に関わる事例などをご紹介していきます。選手の引退や再起などもプロ野球を楽しむための重要な要素の1つです。プロ野球ファンの方はぜひ最後まで読んでみてください。
- 自由契約とはどういう状態か
- 解雇・戦力外。任意引退との違い
- 戦力外通告の期間
- 戦力外通告の選手と再契約できるか
- 自由契約選手と交渉する方法
この記事の目次
自由契約とは?
まず最初に、自由契約とは一体どういうものなのか?を解説していきます。
野球協約第58条(自由契約選手)
選手契約が無条件で解除され、又はこの協約の規定により解除されたと見做された選手あるいは保留期間中球団の保有権が喪失し又はこれを放棄された選手は、その選手、球団のいずれかの申請に基づいて、又は職権により、コミッショナーが自由契約選手として公示した後、いずれの球団とも自由に選手契約を締結することができる。
引用:日本プロ野球機構
日本プロ野球機構(NPB)では自由契約のことをこのように規定しています。
言葉が難しくてよく分からないなあ
簡単に言うと
ある選手がどの球団にも所属せずにどの球団とも選手契約を結べる状態
といえます。
自由契約選手は国内球団だけでなく、メジャーリーグなど国外球団とも自由に契約を結ぶことができます。
解雇・戦力外・任意引退との違い
- 解雇
- 戦力外
- 任意引退
自由契約と似たような意味を持つことばがこちらです。
それぞれ自由契約と違う点&関連している点についてそれぞれ解説していきます。
解雇とは
まず最初に解雇について説明します。
解雇とは球団が特定の選手に対して一方的に契約を解除することを意味します。
プロ野球選手の契約期間は基本的に
2月1日~11月30日
と決まっています。
解雇はこの契約期間の満了を待たずに球団が選手との契約を解除するということです。
通常はこのように契約満了を待たずに選手を解雇するということはほとんどありません。
解雇になるとすれば、よほどの不祥事などが起きた場合です。
過去にこうした解雇処分が出された例はこちらです。
- 運転免許の停止中に車を運転して人身事故
- 野球道具の盗難
法に触れるようなことをすれば、解雇処分が言い渡されることがあります。
一般社会と同じだね
こうした解雇処分が下されるプロ野球選手が今後現れないのを祈るばかりです。
戦力外とは
次にご紹介するのが戦力外です。
プロ野球でよく耳にする言葉だと思います。
戦力外通告とは
球団が特定の選手に対して来シーズンの戦力として想定していない、もしくは来シーズンは契約を更新しないというのを通告することを意味します。
プロ野球では支配下登録選手といって1軍戦に出場可能な選手は70人までというルールがあります。
登録可能選手に限度があるということは、戦力にならない選手を登録するほどの人的枠がはないということです。
戦力外通告は、プロ野球の厳しさを象徴する言葉の1つと言っても過言ではありません。
戦力外選手に密着した特番もあるよ
戦力外通告を受けた選手はそのまま自由契約状態になるケースが多いため、自由契約とかなり近しい意味を持つ言葉でもあります。
ただし、戦力外通告をされた選手が全て自由契約になるわけではありません。
例えば、チームの戦力としては考えられなくなったが、コーチなどの球団スタッフとして残ってほしいという場合もあります。
そのような場合は、その選手が他球団と契約することがないように、このあと説明する任意引退の公示を行います。
任意引退とは
任意引退について解説していきます。
任意引退とは
選手の保有権を球団が所持したまま引退することです。
選手の保有権を球団が所持しているので、引退後に他球団と契約することができません
なんで引退後も選手の保有権がほしいの?
任意引退はその選手が他球団と新しい契約を結ぶのを防ぐための措置です。
ちなみに、この任意引退によって球団が持つ選手の保有権には期間が設けられていません。
そのため、10年でも20年でもその効力が残り続けます。
球団に有利な制度な気がするなあ
ただし、選手が球団に掛け合って許可が降りれば、任意引退から自由契約になることもあります。
また、先ほど紹介したように、引退後に球団スタッフとして残ってほしい場合は戦力外通告後に任意引退を促します。
そして、他球団と契約できないようにします。
その他には球団との関を円満にしたまま引退するために任意引退を選ぶ選手もいます。
元巨人の上原浩治元選手などがその好例と言えるでしょう。
戦力外通告の期間とその意義
ここまで自由契約と解雇・戦力外・任意引退についてそれぞれ解説してきました。
これらの用語の中で自由契約に1番近い意味を持つのが戦力外です。
これから戦力外通告が選手に通達される期間について解説していきます。
戦力外通告の期間
戦力外通告が選手に通達される期間は2つあります。
- 第1次通告
10月1日〜クライマックスシリーズ開幕前日 - 第2次通告
クライマックスシリーズ全終了翌日〜日本シリーズ終了翌日
第2次通告の終了日は日本シリーズが終了した翌日です。
チームは日本一を果たした興奮さめやらぬ中である選手は戦力外通告を言い渡されています。
プロの世界の光と影を感じるね
戦力外通告に期間がある理由
戦力外通告を受けた選手の多くは、11月の始めに開催される12球団合同のトライアウトに参加します。
この合同トライアウトはプロ野球選手の再起をかけたラストチャンスの場です。
まだまだできるぞ!!
このトライアウトで他球団の目を引くことができれば、戦力外通告を受けた選手も新しい契約を結ぶことができます。
また、改めて球団独自の入団テストを受ける機会を得ることもあります。
しかし、球団からの戦力外通告が遅いと
トライアウトもう終わってる…
という事態も起こりかねません。
そうしたことがないように、球団は選手に対して決められた期間内に戦力外通告を通達するというルールが設けられています。
戦力外通告を出すタイミングをしっかりと定めることで、選手が余裕を持って今後の身の振り方を決めることができるように配慮されています。
戦力外選手と再契約することはある?
戦力外をしたチームとまた契約することはあるの?
次は戦力外通告を受けた選手がその同じチームと再契約する可能性があるのか?を解説します。
結論からいうと、自由契約は国内外を問わずどの球団とも契約交渉ができる状態なので、戦力外通告を出した球団が同じ選手と再契約するというのは当然可能です。
戦力外から支配下再契約
戦力外通告を言い渡された球団と再契約した選手は意外に多いです。
- 川上憲伸選手
元中日ドラゴンズ - 坪井智哉選手
元日本ハム - 多田野数人選手
元日本ハム
大幅減俸となることがほとんどですが、同じ球団と再契約することはあります。
例えば、元日本ハムの坪井選手は
9000万円→2000万円(78%ダウン)
と年俸が大きく下がりましたが、再契約を結んでいます。
ただ、最近はこの後紹介する育成契約を結ぶケースが増えています。
戦力外から育成契約
最近は大きなケガをして復帰に1年以上かかることが予測される選手に対して支配下登録から外れて新たに育成契約を結ぶケースが増えています。
この育成契約をするためには事前に戦力外通告をする必要があります。
育成契約は通常の支配下登録契約とは待遇面・環境面など異なる点がたくさんあります。
育成契約制度がどのようなもので、通常の契約と比べていかに大変なのかは下の記事でまとめています。
【球界トレンド】プロ野球の育成契約とは?詳しい仕組みと「育成成り上がり選手」を紹介
FA(フリーエージェント)権とは何か?
ここまでの説明を聞くと、自由契約は球団側の主導で契約が終了するというイメージを持つ方が多いと思います。
しかし、実は選手主導で他球団と自由に契約をすることもあります。
それがFA(フリーエージェント)権です。
FAには以下のメリット・デメリットがあります。
- 憧れの球団や愛着がある地元球団に入団するチャンス
- 優勝の可能性がある強豪球団に入団するチャンス
- 複数年契約で安定的な収入を得ることができる
- 球団が手放さないよう年俸が上がりやすい
- 契約年俸の上限は昨年の年俸と同額になるため、年単位での年俸アップは見込めない
- どの球団も欲しがらなかった場合そのまま自由契約となってしまうため、リスクも大きい
デメリット2つめに自由契約になる可能性があると挙げましたが、現実的にはほとんど起こりません。
FA権を得るには十分な実績を残す必要があります。
FA権を取得するほどの選手が移籍しようとすれば、大体どこかの球団が手を挙げるからです。
FA権を獲得するための条件がいかに厳しいかやFA権の徹底解説は下の記事でしているのでぜひ参考にしてください。
プロ野球FA制度とは?ニュースでは説明されない詳しい仕組みを解説
自由契約後もまだ望みがある
今回は自由契約について解説させていただきました。
自由契約と聞くと球団からクビにされたというイメージを持つ方も少なくないと思います。
しかし、トライアウトで実力をアピールして他球団の移籍や同じ球団と育成契約を交わして再起を目指すなど様々な行く末があります。
自由契約となった選手がその後どういった活動をしていくか?というのもプロ野球を見る上で1つのポイントです。
あなたもぜひ、自由契約となった選手達の動向に目を光らせてみてください。
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