ピッチャーが知っておきたい【肩甲骨の使い方】投球フォームで簡単解説!
ピッチャーにとって肩甲骨を自由自在に操作できるかどうかは
パフォーマンスUP・ケガ予防の両方に関わるとても大切なポイントです。
今回は
- ピッチング中に肩甲骨がどんな使い方をしているか
- またその使い方がピッチャーにとって重要な理由
このあたりについて話していこうと思います。
肩甲骨が大切ということはイメージできると思うのですが、
具体的に投球フォームのどこで肩甲骨を使っているか?
がわかると
肩甲骨のストレッチやトレーニングのモチベーションが高まると思うので
みなさんぜひ読んでいただければと思います!
この記事の目次
一流選手は肩甲骨が柔らかい?
このポーズを見たことがある方は多いのではないでしょうか?
この動きは肩甲骨がバツグンに柔らかくないとできないのですが、
1流選手がしているのを見ると速いボールを投げるためには
「肩甲骨が大事!」
と思えてきますよね?
これから具体的にピッチングで
肩甲骨がどんな動きをしているか見ていきましょう。
ちなみに、さきほどの写真の動きは肩甲骨の柔軟性だけでなく、
肩関節の可動域(内旋)も必要です。
内旋の可動域がせまいのに
無理やりあのポーズをするととても危険です。
肩関節の内旋はピッチャーが固くなりやすい部位で
硬くなりすぎるとテイクバックで腕が上がりにくくなり
肘下がりの原因1)となります。
肩内旋の可動域を高めるには
- スリーパーストレッチ
- クロスアームストレッチ
がオススメです。
下の記事で紹介してますのでそちらを参考にしてください。
ピッチャーは左右両方の肩甲骨を柔らかくする必要アリ!
ピッチングでは右の肩甲骨だけでなく、
左手(グラブ側)の肩甲骨の動きもとても大切な役割をしています。
どんな使い方をしているかみていきましょう。
ピッチング中の左(グラブ)側の肩甲骨の使い方
体重移動で肩甲骨ロックをして壁作りと回転運動の準備をする
まず体重移動のときに左の肩甲骨は
前傾+内旋の方向に動いてロックをかけます。
このロックをうまくかけられていると
- 体が突っ込むのをおさえる
- 回転運動になったときに肩甲骨のロックを解放することで
体幹を爆発的にターンさせて加速することができる
というメリットがあります。
肩甲骨の前傾は肩甲骨の下側が浮き上がってくる動きです。
肩甲骨の内旋は肩甲骨の内側が浮き上がってくる動きです。
どちらも肩甲骨が動く可動範囲としては少ないですが、
とても大切な動作です。
体重移動で肩甲骨を含めた左手(グラブ)の使い方については
以前の記事で詳しく書いてあるのでそちらも参考にしてください。
回転運動で体幹の爆破的な回転を誘導
次に回転運動での左肩甲骨の動きについてです。
球速アップに欠かせないポイントになります。
さきほどの体重移動では
肩甲骨を前傾+内旋方向に動かしてロックをかけましたが
回転運動がはじまると同時に
肘を下げて回すことで反対の後傾+外旋方向に動かします。
そうすることで体幹の回転運動を誘導することができ、
肩甲骨の動きがダイナミックなほど
体幹も鋭く加速してリリースでボールに力が伝わりやすくなります。
前傾+内旋(肩甲骨ロック)
↓
後傾+外旋(解放)で肩甲骨から全身の加速を誘導
この肩甲骨の動く量が多いほど体幹を加速しやすくなります。
肩甲骨が
0から3まで動くより
肩甲骨ロックで0→-3まで助走をとって
-3から3まで一瞬で動いた方が
加速しやすいですよね?
また、ゴールも3じゃなくて5,6,7・・・と可動範囲が広がるほど
その分、体幹の加速を誘導しやすくなって球速アップにつながります。
それだけ
肩甲骨の可動範囲が大切です
回転運動のときの左手の使い方についてもう少し細かく知りたいという方は
以前の記事で詳しく書いていますのでそちらをご覧ください。
ピッチング中の右側の肩甲骨の使い方
さて、次は右側(投げる腕)の肩甲骨の使い方について見ていきましょう!
体幹のひねりと連動して割れを作る
ステップ足が着地したときに
おもに体幹上半分が開かずにひねることで割れを作ることができます。
なるべく大きな割れを作るのが大切ということは
みなさんイメージできると思いますが、
割れをなるべく大きくしてパワーをためるためには
体幹だけでなく、肩甲骨の動かし方も1つのポイントになります。
割れを作った瞬間を背中側画から見てみましょう。
体幹右半身をひねり、開きをおさえることで割れを作っていますが、
このときに肩甲骨は何をしているかというと
背骨の中央に向かってスライドしています。
肩甲骨が内側に移動することで背中側から体幹のひねりを誘導して
スムーズに割れを作りやすくなります。
この肩甲骨の引きよせがなく、
体幹のひねりだけでは大きな割れを作ることはできません。
割れを作るときときに肩甲骨が大きく動いてるのは
下の動画がわかりやすいので参考にしてください。
深いしなりを作るために大切
次にしなりについてです。
全身を使ってカーブを作るように
深いしなりを作れると球速が出やすいのですが、
このとき肩甲骨は後傾という動きをします。
しかし、この肩甲骨の後傾は
肩甲骨単独でパカパカ動くというよりは
肋骨の動きにくっついていくような形になります。
そのため、肋骨の可動域も大きくないといけないのですが、
肋骨の可動域トレーニングは下の記事に載せているので
そちらを参考にしてください!
フォロースルーで腕についていく
最後はフォロースルーの動きについてです。
ケガをしないために肩甲骨の動きが必要になります。
リリース直後の写真です。
このあと腕を振り下ろしてフォロースルーをするのですが
腕の動きに肩甲骨がついていくことで肩にかかる負担を減らすことができる
フォロースルーではさきほども出てきた
肩甲骨の内側がはがれていく内旋と
肩甲骨が反時計周りに動く上方回旋という動きが必要です。
フォロースルーでは赤い矢印のように腕の振りに肩甲骨がついてきます。
フィニッシュまで肩甲骨が腕を追いかけていかないといけません。
その理由として
フォロースルーでは腕が超高速で振り下ろされるので
関節にかかる負担がとても大きいフェーズです。
肩甲骨の可動域がせまい選手の場合、
腕の振りに肩甲骨がついていくことができず
腕だけで無理やり振りおろす形になってしまいます。
そうすると
腕の骨と肩甲骨の内部でぶつかりあう動きが強くなってしまい
鳥口下インピンジメントなどの
野球肩のリスクが高くなります。
リリースからフォロースルーにかけて
肩の前側に痛みが出る選手は
鳥口下インピンジメントが原因かもしれません。
肩甲骨の動きを改善することで症状がやわらぐ可能性があります。
ピッチャーが苦手な肩甲骨の動き
いろいろな選手をトレーニングする中で
ほとんどのピッチャーができていない動きがあります。
- 割れを作るための肩甲骨を内側によせる力が弱い
(僧帽筋中部の収縮が苦手&鎖骨が動かない) - 肩甲骨外旋(肩甲骨ロック&フォロースルー)の可動範囲がせまい
(肩甲骨内側の深いところにある菱形筋群が固くなりやすい、肩甲下滑液包の影響)
そのため
トレーニングをしっかり行い
肩甲骨をしっかり内側によせられるようにしてください。
肩甲骨を内側によせるためには
鎖骨の動きがポイントになります。
- 鎖骨と肩甲骨の関係性
- 肩甲骨を内側によせるトレーニング
は下の記事を参考にしてください。
まとめ
今回、ピッチャーの肩甲骨の使い方について説明しました。
右手だけでなく、左の肩甲骨も球速アップのためにとても重要で
ピッチャーは左右ともに肩甲骨の可動域を広げる必要があります。
肩甲骨が柔らかくなることで球速アップだけでなく
ケガの予防にもつながるので
肩甲骨のトレーニングをどんどんするようにしましょう!
Reference
- 肩後方タイトネスがテイクバック期の肩外転角度に与える影響.日本臨床スポーツ医学会誌26(3).2018.466-471.
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