プロ野球投手に多い【くの字ステップ】習得するための必須トレーニング5種

この記事のまとめ

プロ野球選手で体重移動のときに左足をくの字にしてステップする選手が多いと思います。

くの字ステップは球速アップにつながりやすい動作ですが、スムーズに行うためには股関節の柔軟性が必要不可欠です。

今回、くの字ステップのメリットと動作習得のためにオススメのトレーニング5種目紹介しています。


オリックスの山岡投手などプロ野球選手のステップを見ていると、左足をくの字にして体重移動する選手が多いと思います。


プロ野球選手はただなんとなくステップをくの字にしているわけではなく、その動作にはパフォーマンスアップの秘訣が隠れています。


くの字ステップは股関節の可動域が広くなければならず、足の動かし方にもコツがあります。

それらの条件をクリアしたうえで取り組まないとなかなか自分の投球フォームにハマりません。


形だけをマネてもパフォーマンスの向上につながることはなく、むしろピッチング動作のスムーズさが失われてしまう危険性があります。


今回は3つのパートに分けてくの字ステップについての話を進めていきます。

  • くの字ステップはどのような動きなのか
  • くの字ステップのメリット
  • 習得するためのオススメトレーニング法

特に、3つ目のオススメトレーニングはくの字ステップをマスターするために欠かせないストレッチやトレーニングを紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

この記事の著者

芹田祐(セリタタスク)

理学療法士として整形外科病院・整形外科クリニックなどに10年ほど勤務。野球現場では小学生からプロ野球まで幅広い年代の選手に対して述べ1000名以上のリハビリテーション・トレーニング指導経験あり。

保有資格
理学療法士/認定理学療法士/JARTA認定トレーナー/国際認定シュロスセラピスト/修士(医科学)

くの字ステップはどのような動きなのか

まず、くの字ステップがどのようなものなのか簡単に話をしていきます。

くの字ステップとは

くの字ステップは体重移動のときに左足がくの字になることをいいます。

プロ野球選手ではオリックスの山岡泰輔選手やMLBの前田健太選手など多くの選手がこのステップを利用しています。


プロ野球選手全員がくの字ステップで投げているわけではないのですが、この足の使い方をしている選手はとても多いです。


これからくの字ステップの動きをもう少し細かく分解してどのような動きなのか見ていきましょう。

膝の曲げ→伸ばし→曲げを流れるように行う

一つ目の特徴は膝の動きです。

くの字ステップでは膝の曲げ伸ばしを瞬間的に切り替えながら体重移動を行います。

これから投球フェーズごとに詳しく説明していきます。

まず、左足を上げた瞬間です。

このフェーズでは位置エネルギーを得るために足を高く上げる選手が多いと思います。

左膝が伸びたままでは足は高く上がらないので、膝が曲がった状態になります。

次に、重心の沈み込みの瞬間です。

このフェーズでは重心落下をスムーズに行うために膝が伸びていきます

最後に体重移動の瞬間です。

このフェーズではくの字を作るために膝が曲がりながらキャッチャー方向への体重移動をしていきます。


このように、くの字ステップでは左足を上げてから体重移動を始めるまでに膝の曲げ伸ばしを瞬時に切り替える必要があります。


特に

膝が伸びた状態(重心の沈み込み)


膝を曲げる
(体重移動)

この瞬間的な切り返しをうまくできていない選手が多いです。

切り返しのスピードが遅いと、体重移動の加速が弱まるなどパフォーマンス低下の原因になるので注意が必要です。

ポイント
  • 左足を上げたとき=膝が曲がる
  • 重心の沈み込み=膝が伸びる
  • 体重移動=膝が曲がる

股関節を閉じたまま足を開く

次は股関節の動きについて話していきます。


くの字ステップでは股関節を閉じたまま(股関節内旋)、ステップして体重移動を行います。

上の写真は体重移動を始める瞬間ですが、以下の2点に注目して見てみましょう。

  1. 左膝のお皿の向き
  2. 左膝と左足先の位置関係

まず、一つ目は左膝の向きについてですが、膝のお皿が三塁側を向いているのが分かると思います。

くの字を作るためには、膝のお皿がが三塁側を向かなければならず、そのためには股関節を閉じた状態(股関節内旋)にする必要があります。

くの字ステップではこの股関節を閉じる動きが重要です。

次はストライド局面ですが、このフェーズでどれだけキャッチャー方向へ加速ができるかが球速アップの大きなポイントになります。

この瞬間でも先ほどの膝のお皿が三塁側を向いたまま、足を外側に開いて体重移動を行います。


このように、くの字ステップではまず、内股のように股関節を閉じ、その状態をキープまま左足を大きく外側に開いてストライドする動きが必要なのです。


しかし、股関節の可動域が狭く、内股開脚のように足を外側に大きく開くのが苦手な選手はとても多いと思います。


そのような選手がくの字ステップをしようとすると

内股(股関節内旋)→足を外側に開く(股関節外転)

の一連の流れをスムーズかつスピーディーに行うことはできず、ピッチングのバランスが乱れてしまう危険性がとても高くなってしまいます。


股関節の可動域に自信がない選手はこの記事の後半で紹介するくの字ステップ習得トレーニングを行うようにしてください。

ポイント

くの字ステップを習得するためには下に挙げる股関節可動域が必要不可欠

  • 股関節を閉じる(股関節内旋)
  • 股関節を閉じた状態をキープして足を大きく外側に開く(股関節外転)
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くの字ステップのメリット

これまでくの字ステップのおおまかな動きの特徴について話してきました。

これからそのメリットについて紹介していきます。

体重移動の加速を効率よくする

まず、一つ目は体重移動でキャッチャー方向への加速をしやすくなるという点です。


球速を上げるために重要なことはたくさんあるのですが、ピッチングフォームに関していうと

体重移動でどれだけ身体をキャッチャー方向に加速することができるか

この要素が最重要といっても過言ではありません。


くの字ステップを有効活用することで体重移動の加速を大きくすることができます。


みなさん、思い切り横蹴りをしようと思ったときに

  • 膝を伸ばしたまま足を横に広げて蹴る
  • くの字ステップのように内股にして膝を曲げた状態から瞬間的に膝を伸ばして蹴る

どちらが強い横蹴りができそうですか?


くの字ステップのように内股で股関節を閉じ、膝を曲げた位置から足を横に開いた方が強いキックができるはずです。

くの字ステップを使って瞬間的に左足を大きく開くことができると、力強いステップをすることができます。  力強く左足をステップすることで骨盤が左足の動きにつられてキャッチャー方向へ加速しやすくなり、身体全体の加速が大きくなり、球速も上がりやすくなります。

ピッチングもそれと同じです。

くの字ステップを使って瞬間的に左足を大きく開くことができると、力強いステップをすることができます。

力強く左足をステップすることで骨盤が左足の動きにつられてキャッチャー方向へ加速しやすくなり、身体全体の加速が大きくなり、球速も上がりやすくなります。


体重移動で加速を大きくするためには、くの字ステップだけでなく

  • 軸足股関節の使い方(正しいヒップファースト)
  • 重心落下(サイクロイド曲線・抜重)
  • 左手の使い方(グラブの使い方)

このあたりも大切です。

詳細については下の記事で全てを徹底解説しているので、ぜひそちらもご覧ください。

体の開きをおさえやすい

二つ目のメリットは体の開きをおさえやすくなるという点です。


さきほど話したようにくの字ステップでは股関節を閉じた状態(股関節内旋)でステップして体重移動を行います。

股関節が閉じた状態では、骨盤と体幹の回転を起こりにくくすることができるので、ステップ足が着地する前での体の開き(早い体の開き)を抑えやすくなります。


どうしても体の開きが早くなる選手はくの字ステップを挑戦してみる価値があると思います。

捻転差を作りやすい

最後は捻転差を作りやすくなるという点です。

リリースの瞬間に全身の力を効率よくボールに伝えるためにはこの捻転差は欠かせません。

ステップ足が着地したくらいの瞬間に骨盤・下半身はキャッチャー方向に回転を始めていますが、体幹と上半身はそのうごきにつられることなく、タメを作る動作が必要です。この上半身(体幹)と下半身の相反するねじれの動きが捻転差です。

ステップ足が着地したくらいの瞬間に骨盤・下半身はキャッチャー方向に回転を始めていますが、体幹と上半身はそのうごきにつられることなく、タメを作る動作が必要です。

この上半身(体幹)と下半身の相反するねじれの動きが捻転差です。

くの字ステップでは股関節を閉じて(内旋)ステップするので、左足の股関節・骨盤の開きを押さえながら体重移動が行われます。

くの字ステップでは股関節を閉じて(内旋)ステップするので、左足の股関節・骨盤の開きを押さえながら体重移動が行われます。

ステップ足が着地する瞬間まで股関節を閉じたままでは、キャッチャー方向に向きを変えてボールを投げることはできません。
そのため、ステップ足が着地する直前に瞬間的に股関節が開き出し(外旋)て着地を迎えようとします。

ステップ足が着地する瞬間まで股関節を閉じたままでは、キャッチャー方向に向きを変えてボールを投げることはできません。

そのため、ステップ足が着地する直前に瞬間的に股関節が開き出し(外旋)て着地を迎えようとします。

股関節が閉じた状態から着地直前に勢いよく左足を開くので、骨盤もその動きに誘導されて瞬間的にキャッチャー方向へ鋭く回転します。  そのため、下半身と上半身の間に捻転差に生まれやすく、またこの捻転差は急激に体幹が引き伸ばされる形になります。  体幹にくっついている腹筋が一瞬で最大限に引き伸ばされ、その状態から回転運動で体幹が巻き戻すように動くと腹筋が爆発的な収縮することができ、リリースでボールに力が伝わりやすくなります。

股関節が閉じた状態から着地直前に勢いよく左足を開くので、骨盤もその動きに誘導されて瞬間的にキャッチャー方向へ鋭く回転します。


そのため、下半身と上半身の間に捻転差に生まれやすく、またこの捻転差は急激に体幹が引き伸ばされる形になります。


体幹にくっついている腹筋が一瞬で最大限に引き伸ばされ、その状態から回転運動で体幹が巻き戻すように動くと腹筋が爆発的な収縮することができ、リリースでボールに力が伝わりやすくなります。


ゴムを目一杯に引っ張って離すと勢いよく飛んでいくのをイメージしてもらうと分かりやすいと思います。


ただし、1つ注意点があります。

捻転差を作るためには胸椎(胸郭)の可動域が必須になります。


もし、胸椎に捻転差を生み出す可動性がないと、下半身・骨盤の回転につられてしまい、全身がひとかたまりでクルッと回ってしまいます。

そうなると、開きの早いフォームになり、スピードボールを投げることは難しくなるので、胸椎の柔軟性は必ず高めておきましょう。


捻転差を作りあげるための胸椎ストレッチは以前の記事で紹介していますのでそちらを参考にしてください。

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くの字ステップ習得トレーニング

ここからは実践編です。

くの字ステップでは

  • 膝の曲げ→伸ばしの切り返し
  • 股関節を閉じたまま、外側に大きく開く

という動きが必要でした。


それらの動きを習得するためにオススメのトレーニングを紹介していきます。

股関節内旋ストレッチ

やり方はコレ
  1. 伸ばす側の膝を直角に曲げる
  2. 伸ばす側の股関節に重心を乗せる
  3. じわっと伸びる位置をキープする 30秒×3セット

股関節外転ストレッチ

やり方はコレ
  1. 伸ばす足の内くるぶしを地面に向ける
  2. 反対足の方向に身体を向ける
  3. 重心を低く落として内ももを伸ばす 30秒×3セット
ポイント
  • スネの内側を地面につけるようにして重心を下げる

内旋伸脚

やり方はコレ
  1. 交互に足を入れ替えて伸脚をする 10〜15往復×3セット
ポイント
  • スネの内側を地面につけるようにして重心を下げながら体重移動する
  • 反対足(膝が曲がっている側)のカカトはつけなくてもOK

ヒップツイスト

やり方はコレ
  1. 腕立てのように両手をつく
  2. ステップ足を股関節を閉じて内股にして構える
  3. 一瞬で股関節を開いて体の外側に足を着地する 15回×3セット
ポイント
  • 慣れてきたら動作のスピードを上げる
  • 股関節を閉じた状態から一瞬で股関節を開いて地面に着地する
  • 着地するときにつま先は外側を向くようにする

ヒップキック

やり方はコレ
  1. 内股にしてつま先を外側に向ける
  2. 内股が崩れないようにして足を外側に開くようにキックをする 15回×3セット
ポイント
  • くの字をキープしたまま、瞬間的に足を外側に開く
  • あしをなるべく遠くまで伸ばすようにしてキックする

まとめ

今回、くの字ステップの動きの特徴と習得するための必須トレーニングを紹介しました。


くの字ステップのメリット以下の通りです。

  • 体重移動で加速しやすくなる
  • 体の開きをおさえやすい
  • 捻転差を作りやすくなる

くの字ステップをスムーズにするためには股関節の可動域が必要になりますが、身体を正しく使いこなすことができれば、投球パフォーマンスを高めることができます。


股関節が固いと感じている選手はまずは可動域を改善し、そのうえで投球フォームを修正するようにしましょう。