【実例動画つき】野球のスクイズとは?よく起こるケース7選を紹介
野球のスクイズとはどんな戦術かご存知でしょうか?この記事ではスクイズとはなんぞやということを分かりやすく解説しています。また、スクイズが起こりやすい試合場面を7つ紹介していますので、スクイズが起こるか予測しながら試合観戦を楽しむことができるようになります。
野球のスクイズは1点を争う場面などで攻撃側が行う戦法です。
緊迫した試合展開でスクイズが成功すると一気にチームは盛り上がります。
でも、スクイズを理解していないと何がおこったか分からず、盛り上がりに乗ることができません。
今回はスクイズとはなんぞや?ということを完全図解&プロ野球の実例映像つきで野球未経験者の方でもわかるように説明していきます。
芹田祐(セリタタスク)
理学療法士として整形外科病院・整形外科クリニックなどに10年ほど勤務。野球現場では小学生からプロ野球まで幅広い年代の選手に対して述べ1000名以上のリハビリテーション・トレーニング指導経験あり。
保有資格
理学療法士/認定理学療法士/JARTA認定トレーナー/国際認定シュロスセラピスト/修士(医科学)
この記事の目次
スクイズとは?
下の映像がプスクイズが成功した場面です。
これからスクイズとは何か?どんな試合場面でスクイズが使われやすいかについて順番に説明していきます。
語源と英語での読み方
そのまえに、スクイズの語源について簡単に紹介しておきます。
スクイズは英語表記にするとsqueezeになります。
squeezeの日本語での意味は「しぼる」です。
野球の試合では、攻撃側がどうしても1点を取りたいときにスクイズをします。
得点をしぼり出すようにして1点を狙いに行くということでスクイズという名前がつけられています。
スクイズはバントの1種
スクイズはバントの1種です。
バントは打者がバットを思い切り振り回してヒットに打ちにいくのではなく、バットにボールをコツンと当ててゴロを転がしてランナーを進める戦法です。
基本的にバッター自身はアウトになることを引き換えにランナーを次の塁に進めることが多いです。
スクイズの特徴
スクイズは1点を狙って行うバントです。
こちらの映像のようにランナーを1塁から2塁に進めるようなバントはスクイズではなく、送りバント(犠牲バント)といいます。
ランナーの条件
スクイズでは3塁にランナーがいるのが前提条件になります。
ランナーを3塁→ホームに進めるバント=スクイズ
と覚えておきましょう。
スクイズの流れ
1.ランナーが走る
ピッチャーが投球を開始して牽制がこないと判断した時点で3塁ランナーはホームに突っ込みます。
ランナーはホームに向かって全力で走って盗塁をする感じです。
2.バッターがスクイズをする
バッターはバントをしてフェアゾーンにゴロを転がします。
3.ランナーがホームを踏んで1点入る
ランナーはあらかじめホームに向かって全力で走っています。
そのため、内野手がゴロを捕球してホームでアウトにしようとしても間に合いません。
こうして攻撃側に1点が入ってスクイズ成功となります。
スクイズの補足情報
スクイズについてもう少し詳しい説明をします。
ピッチャーが大きく外してくる場合がある
攻撃側が1点どうしてもほしいということは守備側からすると
「絶対に1点とられたくない」
と考えていることが多いです。
そのため
「スクイズしてくるんじゃないか?」
と疑う場合はピッチャーがわざとバントしにくいところにボールを投げる(ウエストボール)ことがあります。
下の映像がその場面です。
このようにバントしにくいボールを投げられたとしても打者はなんとしてでもバットにボールを当ててゴロがファウルにしなければなりません。
また、送りバントではバントの構えを最初からしていることが多いですが、スクイズでは初めからバントの構えをしているとピッチャーにばれてウエストボールを投げられてしまいます。
そのため、スクイズのときは最初は打ちに行く姿勢を見せ、ピッチャーがボールを投げた瞬間にバントの構えに入るのが大事なポイントです。
空振りとフライはご法度
スクイズのときにバッターが必ずゴロがファウルにしないといけない理由は2つあります。
1.空振りした場合
スクイズのとき三塁ランナーはホームに向けて突っ込んでいます。
そのため、バッターが空振りするとピッチャーの球を受けたキャッチャーにすぐタッチされてアウトになってしまいます。
2.フライの場合
バントではバットを振らず、ボールに当てに行きます。
そのため、フライが遠くまで飛ぶことはなく、内野フライになります。
フライのときにランナーはリタッチといって一度自分がいた塁に戻らないといけません。
内野フライでは守備側がキャッチしてすぐに三塁ベースまでボールを投げることができ、三塁ランナーは間に合わずにアウトにされてしまいます。
このようにスクイズは1点が入る可能性がある作戦ですが、失敗すればチャンスが一瞬にして水の泡になる戦法なのです。
リタッチのルールが分からないというかたは下の記事で説明しているのでそちらをご覧ください。
【未経験者でも絶対分かる】犠牲フライの意味と打率・打席数など記録のつけ方
バッターはゴロを転がせばOK
スクイズではなく、1塁→2塁などにランナーを進める送りバントではあらかじめランナーが走っていません。
そのため、相手の正面などとりやすい場所にバントをしてしまうとダブルプレーになる危険性があります。
こちらの映像はピッチャー正面にバントをしてしまい、ダブルプレーをとられてしまったシーンです。
送りバントでは以下のことに注意する必要があります。
- ライン際
- 相手守備がいないところ
- ゴロの勢いを弱くする
その一方でスクイズのときは三塁ランナーが投球と同時にホームに向かって走り出しています。
そのため、ピッチャー正面の強いゴロやキャッチャーの目の前でなければ1点入る可能性が高いです。
- スクイズは守備にばれないようにする
- 必ずバットに当ててゴロかファウルにする
- フェアゾーン内に転がせば1点入る可能性が高い
スクイズの種類
スクイズには2つの種類があります。
スーサイドスクイズ
スーサイドスクイズが一般的なスクイズです。
今まで説明してきたのがこのスクイズになります。
バッター自身はアウトになってもいいので、なんとか三塁ランナーをホームに返して1点をとろうとするときに使うスクイズになります。
ピッチャーの投球と同時に3塁ランナーがスタートをきって本塁に向かいます。
そのため、バッターが空振りするとランナーが大体アウトになりますが、フェアゾーン内にゴロを転がせば1点が入る確率が高いスクイズです。
セーフティースクイズ
もう一つはセーフティースクイズです。
このスクイズでは、バッター自身が1塁セーフになることを狙ってセーフティーバントをします。
スーサイドスクイズのようにランナーがあらかじめホームに向かって走ることはしません。
ランナーはまずバントが飛んだ方向を確認します。
フライや内野手正面のゴロなどホームまで走ることが難しいときは3塁にとどまります。
バントがライン際ギリギリに転がった場合など守備がボールをとりにいくのに時間がかかり、ホームまで帰れそうと判断した場合にホームに向かって一気にスタートを切ります。
こちらの映像はセーフティースクイズが成功した場面です。
セーフティースクイズのメリット
あらかじめ三塁ランナーがホームに走るわけではないので、バッターがバントに失敗したときのリスクが低い
セーフティースクイズのデメリット
- ホームに突っ込むかはランナーの判断なので、ランナーの走塁技術が問われる。
- 一般的なスクイズより三塁ランナーのスタートが遅いので、ランナーの足が遅いと成功率が下がる。
スクイズも犠牲バントになる?
記録上の話をします。
ランナーがどの塁でも次の塁に進んでバッターがアウトになれば犠牲バントです。
そのため、基本的にスクイズは打点がつく犠牲バントになります。
しかし、セーフティーバントでバッター自身がセーフになった場合の記録はヒットになるので注意しましょう。
プロ野球でスクイズが少ない理由
高校野球ではスクイズで1点をとりに行くことが多いです。
一方、プロ野球では高校野球に比べるとスクイズをすることが少ないです。
これは1点を取るためにどの作戦が確率高いのかについての考え方が影響しています。
というのも、バッターに普通に打たせて外野フライを打てば犠牲フライになって1点とることができます。
(犠牲フライが分からないかたはこちらの記事をご参照ください。)
プロ野球では打撃技術が一流の選手ばかりなので、犠牲フライをねらって外野フライを打つことができます。
これまで説明したようにスクイズは空振りやフライを上げると三塁ランナーがアウトになり、チャンスが一気につぶれてしまうリスクが存在します。
そのリスクを冒すよりもバッターに打たせて1点をとりにいこうというのがプロ野球のトレンドなのです。
スクイズのサインが出やすい場面
監督がスクイズのサインを出しやすい場面を7つ紹介します。
とにかく1点がほしい
1点をとにかくほしい場面でスクイズはよく使われます。
例えば、試合終盤で1点差で負けているor同点などです。
- 僅差の試合
- 好投手で得点とるのが難しそう
- 先制点がほしい
試合終盤でなくてもこのようなケースではスクイズのサインが出やすいので覚えておきましょう。
左ピッチャーが投げているとき
左ピッチャーは三塁ランナーに背中を向けて投球しています。
そのため、三塁ランナーの動きを確認しにくいという特徴があります。
三塁ランナーからするとスタートを早く切ることができます。
ランナーが早くスタートすればスクイズの成功率は上がるので、左ピッチャーのときにスクイズのサインを出しやすくなります。
ピッチャーがボールを投げにくいカウント
1球目や1ストライク1ボールなどボールの数が少ない時はピッチャーに余裕があるので、わざと大きく外したボールを投げてくる可能性があります。
バッターからすると、大きく外されたボールにバットを当てるのは至難の技です。
そのため、ピッチャーがわざとボールを投げてきそうなカウントではスクイズのサインは出しにくくなります。
一方で1ストライク2ボールなどボールが先行しているときはフォアボールでピンチを広げるのはいやなのでストライクを投げてくる確率が高くなります。
攻撃側としてはそのタイミングでスクイズを出しやすくなります。
ピッチャーのコントロールが安定している
コントロールが不安定で荒れ球のピッチャーはどこに投げてくるか分からず、スクイズはとてもやりずらいです。
逆にコントロールが安定してまとまったピッチャーの場合、スクイズでゴロを転がしやすいのでスクイズのサインが出やすくなります。
バッターが打つ可能性が低い
好打者でヒットを打つ確率が高い選手や打撃技術が高くて外野フライを狙って打てる選手にはそのまま打たせることが多いです。
しかし、打撃が苦手な選手の場合、スクイズを使って1点を狙いにいく可能性が高くなります。
相手が警戒していない初球
バッターの初球にスクイズのサインが出ることが割と多いです。
特に、前のバッターがヒットを打って得点したあとの初球は相手があたふたしていてスクイズに対する警戒心が弱まっていることがあります。その意表をついてスクイズのサインが出されることが多いです。
ランナー満塁以外
満塁は1・2・3塁全ての塁にランナーがいて塁がつまった状態です。
そのため、バッターがゴロを転がした瞬間に全てのランナーが自動的に次の塁に進まないといけません。
このとき、守備側は3塁ランナーにタッチしなくても、ホームベースを踏みさえすればアウト(フォースプレー)にすることができます。
フォースプレーではタッチする手間が省けてアウトにしやすいので、攻撃側としてはスクイズのサインをとても出しにくくなります。
スクイズを予測して試合観戦を楽しもう
スクイズとは先制点を狙うときや僅差の試合・試合終盤など1点をとりにいくときに行うバント戦法のことです。
スクイズがおこる条件は3塁ランナーがいることです。
守備側とてしては1点をとられたくないので、わざと大きく外したボール(ウエストボール)を投げたりして相手のスクイズを防ごうとします。
スクイズが想定される場面では攻守の駆け引きを見ることができます。
- ピッチャーがボールを投げにくいカウント
- 左ピッチャーが投げている
- ピッチャーのコントロールが安定している
- バッターの打撃技術が低い
- 相手の警戒心が弱い初級
さらに、このような相手ピッチャーやバッターの状況、相手選手の心理状態などでスクイズしやすいケースが存在します。
スクイズが出るか出ないか、また両軍ベンチで行われる采配の駆け引きを楽しみながら奥深い野球観戦をしてみてください!
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