野球のクリーンナップの意味を簡単解説!その役割とプロ野球歴代最高布陣も紹介
この記事ではクリーンナップの意味や試合中に求められる役割を解説します。また、記事後半はプロ野球史上で最高のクリーンナップ3選ということで紹介しています。クリーンナップの意味を知りたい方だけでなく、プロ野球ファンの方もぜひ最後までお読みください。

クリーンナップってどんな役割があるの?

クリーンナップの由来や役割などを徹底解説するぞ
この記事では野球におけるクリーンナップの言葉の意味と試合中の役割について解説します。また、記事後半ではプロ野球歴代の中で最強といわれたクリーンナップを3例紹介します。
- クリーンナップとは何か
- 3・4・5番バッターの役割
- メジャーと日本での違い
- クリーンナップでもバントするのか
- プロ野球歴代有名なクリーンナップ
この記事の目次
野球のクリーンナップとは?

まず、野球におけるクリーンナップとは一体何かについて解説します。
基本的にクリーンナップは打つ能力が高くて得点が期待できる選手が配置されることが多いです。
クリーンナップの言葉の由来

クリーンナップってどういう意味?
クリーンナップの由来はこちらです。
塁にいるランナーをホームまで帰す=クリーンナップ(Clean up)
塁上のランナーを帰す=掃除という意味です。
クリーンナップの打順
3番・4番・5番バッターをクリーンナップと呼ぶのは実は日本の野球文化独特のものです。

海外では呼ばないんだあ!
メジャーリーグでは4番バッターのみがクリーンナップと呼ばれます。
クリーンナップの英語表現
メジャーリーグではクリーンナップのことは「クリーンナップヒッター」と言います。
メジャーリーグで日本のクリーンナップである3〜5番バッターの並びを指す言葉にはこのようなものがあります。

色んな呼び方があるんだね
- チーム内で打力が高い選手がクリーンナップに座ることが多い
- クリーンナップの由来は「塁上の掃除屋」
- 日本では3〜5番バッターがクリーンナップ
- メジャーでは4番バッターだけクリーンナップ
- メジャーでも3〜5番バッターは重要とされている
クリーンナップ=クリーンアップ

クリーンナップは「クリーンアップ」と言われることもあります。
基本的に両者に意味の差はなく、どちらかが誤用ということはありません。

どっちでも通じるぞ
しいて違いを挙げるとするなら、クリーンナップの方がよりネイティブな発音に近いというくらいです。
また、少し縮めて「クリンナップ」と言われることもあります。自分の言いやすい呼び方を使っても問題ありません。
クリーンナップの役割
次はクリーンナップの役割について解説していきます。
クリーンナップの役割というのはさきほど話したようにランナーを一掃して得点につなげることです。

重要な役割があるね
「点を取る」という部分は共通ですが、それでも3番・4番・5番バッターそれぞれに求められる能力や意味合いは異なります。

各バッターの代表的な役割を紹介するぞ
3番バッターの役割

3番バッターの最大の役割は出塁した1番や2番バッターをホームに返して得点を入れることです。
そのため、長打力やヒットを打つ能力が高い必要があります。
ただし、もし1番・2番がアウトになったときは、続く4番バッターのために自分でチャンスメークする役割があります。
以下の能力があると3番バッターに抜擢されやすくなります。
- ヒットをよく打つ
出塁率が高い - 選球眼がいい
フォアボールでの出塁率UP - 足が速い
内野安打での出塁率UP・盗塁でチャンス拡大

3番バッターは万能選手が多いね
攻撃に必要な能力をバランスよく兼ね備えているのが理想的です。
また、昔から3番バッターには左打者が配置される傾向があります。
4番バッターの役割

4番バッターの最大の役割は塁上にたまったランナーを一気に返して大量得点を上げることです。
そのため、ホームランなど一打でランナーを返すことができる長打力が重要です。
また、打線が相手投手に抑え込まれている状況でも、自分の一打で沈んだムードを一転させる雰囲気を持った選手が向いています。

威圧感ある大柄な選手が多いよ
日本のプロ野球だと長打力がある外国人選手が座ることが多いです。
チームの勝敗を分けるチャンスなどプレッシャーがかかる場面で打席が回ってくることが多くなります。
そのため、強いメンタルも必要になります。
良くも悪くも試合への影響力が大きいのが4番という存在です。
5番バッターの役割

5番バッターはチャンスで3・4番が凡退したときになんとしても得点を上げる役割があります。
また、4番バッターは相手チームから最も警戒されやすく、真っ向勝負を避けて5番バッターとの対戦を選ぶことがあります。
5番バッターが凡打を繰り返してしまと、相手チームは強打者の4番バッターと無理に勝負する必要がなくなります。
そうなると、チームの得点力が下がるだけでなく、相手ピッチャーにかけるプレッシャーが弱まってしまいます。
5番バッターはクリーンナップの最後のとりでとして確かな打力が必要になります。

5番に強打者がいると相手投手は気が抜けないぞ
相手ピッチャーにプレッシャーを与え続けるためにも、結果を残して4番に引けをとらない打者であることをアピールするというのも5番バッターに必要な能力で課せられた役割といえます。
一般的に5番バッターは打率よりも長打力が高い選手が抜擢されやすいです。
クリーンナップに求められる役割は変わる

ここまで3番〜5番バッターの特徴と必要な能力をそれぞれ紹介しました。
しかし、これらはあくまで1つの例に過ぎません。
なぜなら、チームカラーや監督の方針などによってクリーンナップを打つ選手の特徴は大きく変わるからです。

これは重要なポイントだぞ
例えば、千葉ロッテに所属していたサブロー選手は「つなぎの4番」として活躍しました。
さきほど説明したように、4番バッターには一発長打を狙える選手が座ることが多いです。
しかし、サブロー選手の長打率は決して高くありませんでした。
そのかわりにチャンスにとても強くて出塁率も高いのが特徴でした。
ロッテの監督はこの特徴を生かせば「打線の切れ目がなくなる」と考えてサブロー選手を4番バッターに起用しました。

ボビーバレンタイン監督懐かしいね
サブロー選手がシーズン途中からつなぎの4番として活躍した2005年の成績はこちらです。
打率 | HR | 打点 | 出塁率 |
.313 | 14 | 50 | .380 |
4番バッターとしてはホームラン数が物足りないように感じるかもしれませんが、打線のつなぎ役としてしっかり機能していました。
ちなみにこの年のロッテは日本シリーズで阪神を下して31年ぶりの日本一を果たしています。
このように、必ずしも長打をたくさん打てる選手がクリーンナップに座るわけではないことを覚えておきましょう。
メジャーリーグは強打者をどこに配置する?

ここまでご紹介した通り、日本の野球文化では主に3番・4番・5番のクリーンナップに強打者を配置する傾向があります。
メジャーリーグでは1番・2番・4番に強打者を配置する傾向があります。
その中でも、近年特に重視されているのが2番バッターです。
その理由は、4番バッターはアウトカウントが2アウトで打順が回ってくることが多くなります。
そのため、チームとして得点の期待値が下がってしまいます。
一方で2番バッターに強打者をおくとこのようなメリットがあります。
- 打席に立つ機会が増える
- アウトカウントが少ない場面で打席に立ちやすい
セイバーメトリクスというデータ解析からも2番に強打者を配置するのが理想的という結果が出ています。
セイバーメトリクスはビッグデータから色々な考察をしています。
野球にまつわる客観的なデータに興味がある方はおすすめです。
初めての方はこちらの「セイバーメトリクス入門」がスッと入りこみやすいと思います。
元々は4番バッターを指す言葉であったクリーンナップですが、時代の変遷と共に強打者を置く打順が変わってきているというのを見ると、野球というスポーツが月日を重ねるごとに進化してきているということが分かって面白いものです。
日本では打順毎の役割を重視し、その役割に当てはまる能力を持った選手を割り当てるという考え方が一般的ですが、メジャーリーグではこうしたデータを分析した結果を元に選手の打順を組むのが主流です。
クリーンナップはバントをしない?

いままで話してきたようにクリーンナップには打力が高い選手が座ります。
そのため、自らが犠牲になる送りバントをすることは他の選手よりは少ないです。
しかし、クリーンナップの選手がバントをすることは往往にしてあります。
例えば3番バッターの場合は1番や2番が出塁している場合、次の4番バッターでより確実に得点を上げるために送りバントのサインが出ることがあります。
- 相手が好投手で1点勝負が予想される
- 試合終盤で1点がどうしても欲しい
- 相手投手との相性がよくない
このように大量得点よりも確実に1点がほしい場面などではバントのサインが出やすくなります。

野球は確率のスポーツ!!
例えば、巨人の原監督は当時クリーンナップだった阿部慎之助選手に送りバントのサインを出したことがあります。
プロ野球のクリーンナップであっても、試合状況によっては送りバントで塁を進めて堅実に1点を狙いにいくこともあります。
クリーンナップには迫力あるホームランを期待したくなりますが、このような意外性のある采配を見るのも野球観戦の魅力の1つです。
歴代プロ野球での代表的なクリーンナップ
最後に、歴代プロ野球で有名なクリーンナップを3例紹介します。
1:読売ジャイアンツ 松井・清原・高橋
強打者が多い球団として読売ジャイアンツを思い浮かべる方は多いと思います。
その中でも2001年のクリーンナップは強烈でその並びは
松井秀喜選手・清原和博選手・高橋由伸選手です。
当時は松井・清原・高橋の頭文字をとってMKT砲といわれていました。
当時は三人の合計本塁打数が92本と強烈な記録を誇り、相手チームのピッチャーにとって大きなプレッシャーとなりました。
打率 | 本塁打 | 打点 | |
松井 | .333 | 36 | 104 |
清原 | .298 | 29 | 121 |
高橋 | .302 | 27 | 85 |
また余談ですが、このとき6番バッターを任されていた江藤智選手も30本塁打を記録していたので、巨人の打線はクリーンナップを過ぎても全く油断ができないものでした。
当時のリーグでは文句なしにトップの打撃力を誇るクリーンナップと言えるでしょう。
2:阪神タイガース バース・掛布・岡田
1985年の阪神タイガースのクリーンナップもプロ野球史に残る強力なクリーンナップとして有名です。
当時、クリーンナップを任されていたのが
ランディ・バース選手・掛布雅之選手・岡田彰布選手です。
歴代のプロ野球史に残るクリーンナップの中でも最強との呼び声が高いです。
巨人戦でバックスクリーン3連発をしたことで有名です。
(当時の映像はコチラ↓)
1985年の打撃成績はこちらです。
打率 | 本塁打 | 打点 | |
バース | .350 | 54 | 134 |
掛布 | .300 | 40 | 108 |
岡田 | .342 | 35 | 101 |
3選手とも驚異的な成績を叩き出しています。中でもランディ・バース選手は三冠王&リーグMVPにも輝きました。
ちなみに、この年に阪神は初めて日本一を達成しています。
3:西武ライオンズ 秋山・清原・デストラーデ
西武ライオンズは1985年から1994年の10年間で9回のリーグ優勝を飾り、まさに黄金期でした。
中でも特に強力な得点力を誇ったのが1990年のクリーンナップでその並びは
秋山幸二選手・清原和博選手・デストラーデ選手です。
この年の西武は2位のオリックスに12ゲーム差をつけ、日本シリーズでも巨人軍に4連勝して圧倒的な力で日本一になりました。
特に、デストラーデ選手の長打力はすさまじいもので豪快なホームランを量産していました。
(当時の映像はコチラ↓)
打率 | 本塁打 | 打点 | |
秋山 | .256 | 35 | 91 |
清原 | .307 | 37 | 94 |
デストラーデ | .263 | 42 | 106 |
当時の西武ライオンズを支えたこのクリーンナップはAKD砲と呼ばれていました。
クリーンナップの役割を理解して野球観戦しよう
今回は野球のクリーンナップについてご紹介させていただきました。
クリーンナップと言うと「長打力のある選手」という漠然としたイメージを持っている方も多いと思います。
しかし、3番・4番・5番それぞれ役割や求められる能力が若干違うというのは面白い点だと思います。
また、日本のプロ野球とメジャーリーグでクリーンナップの意味や強打者の配置の仕方が違うというのも興味深いですよね。
野球観戦をする際も、こうした野球知識を持った上で臨むとまた違った楽しみ方が出来ると思います。
あなたもぜひ、今回ご紹介した知識を活かしてみてください。
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