ピッチングでの左手(グラブ)の使い方のコツ!(回転運動編)
今回はピッチングの回転運動における左手(グラブ)の使い方について解説していきます。
全身が高速で回転することによって腕も加速しやすくなり、スピードボールを投げることが可能になります。
この体の回転に以外にも球速アップには胸の張りが欠かせないのですが、その動きをうまく作り出せるかは左手の使い方にかかっています。
ピッチング中に左手を正しく使えていれば、パフォーマンスを高めることができますが、その反対に正しい使い方をできていないと効率よくボールを投げることはできません。
球速アップをしたい選手はぜひ読んでほしい内容なのでぜひ目を通していただければと思います。
この記事の目次
体重移動と回転運動で左手(グラブ)の役目は変わります
今回はピッチングの回転運動での左手の使い方について解説していきます。
体重移動(並進運動)と回転運動では左手の役割が変わってきます。
体重移動のときは
- 体のつっこみをおさえる
- 体の開きをおさえる
- 右手のテイクバックをとりやすくする
などの役割があります。
ただ左手を前に出せばいいというわけではなく、いくつかのポイントがあります。
今回の内容と体重移動のときのポイントを合わせて理解できると、よりパフォーマンスアップにつながりますので、ぜひ読んでみてください。
球速アップに欠かせない左手(グラブ)の使い方
速いボールを投げるためにはリリース直前に胸が開いて体幹がカーブを描くように大きくしなっているかがとても大切なポイントになります。
この「体のしなり」は体幹の伸展といって体幹を反らす動きになります。
体幹の反りが大きいほどしなりが大きくなり、球速が出やすくなるのですが
体幹を大きく反るためには背骨だけではなく、その周りにある肋骨と肩甲骨を柔らかく使いこなせなければなりません。
なぜ肋骨と肩甲骨の動きが必要になるのかをこれから話していくのですが
「自分がしっかりしなりを作れているか気になる」
という選手は下の記事で自分の投球フォームがしなりを作れているのかチェックする方法をまとめてますので、そちらをご覧ください。
背骨は肋骨に囲まれて肋骨の上には肩甲骨が乗っている
背骨・肋骨・肩甲骨の関係性について簡単に説明します。
上の写真を見てください。
背骨は肋骨の中にあって肋骨と背骨はガッチリくっついています。
イメージとしては背骨が肋骨という鳥かごの中に固定されている感じです。
そのため、ピッチングでしなりを作るために背骨を動かして体幹を反らそうとしても
背骨を取り囲んで固定している肋骨がグニャグニャに動かないと
スムーズに体幹を反らせることはできません。
逆をいえば、肋骨を柔らかく動かすことができれば、体幹を大きく反らすことができてしなりが生まれやすくなります。
次に、肋骨と肩甲骨についてです。
上の図のように肩甲骨は肋骨の上に乗っかっています。
肩甲骨
↓
肋骨
↓
背骨
このようなサンドイッチ構造になっているのです。
さきほど背骨を自由自在に動かすためには肋骨の柔らかさが大切といいましたが、肩甲骨をうまく使いこなすと肩甲骨が肋骨を上から押しだすように肋骨の動きをアシストしてくれ、さらに背骨の動きがスムーズになります。
ピッチングで左手をきちんと使えていない選手が、この連動した動作を使いこなせるようになると、球速がアップする可能性は非常に高いです。
これからもう少し具体的に肩甲骨の使い方について説明していきます。
肩甲骨の動きについて簡単解説
肩甲骨を後ろからみていると思ってください。
肩甲骨は肋骨の上に乗っかていますが、上のように肩甲骨の下側が肋骨から離れるように動くことを肩甲骨の「前傾」といいます。
次に、肩甲骨の内側が肋骨から離れるように動くことを肩甲骨の「内旋」といいます。
この肩甲骨の「前傾」+「内旋」で回転運動の準備をします。
上の写真のような感じです。
プロ野球選手の写真とかでこの左手の形よくみませんか?
これを「肩甲骨ロック」とぼくは呼んでいるのですが、この直後に肘を一瞬で外側に開くことで肩甲骨も開放されて爆発的な回転運動と大きなしなりが起こりやすくなります。
肩甲骨ロックをしっかりできていないと回転運動のときに左手を引いたとしても肩甲骨の動きが小さくなり、パフォーマンスアップにはつながりません。
そのため、さきほどの写真のような左手の形を作るのがものすごい重要になります。
肩甲骨ロックの作り方のポイントは下に載せておきますので参考にしてください。
- 肩と肘がほとんど同じ高さ
- 左肩越しにキャッチャーを見る
- 肩を前に張る
- グローブのキャッチする面が自分を向いている
- 肘がキャッチャーを真っ直ぐ向くより、少し右バッター向き(閉じた状態)
このポイントを押さえてピッチングの体重移動のとき(ステップ足が着地する直前くらい)にこの左手の形を作ると肩甲骨の「前傾+内旋」のロックをかけることができます。
左の肩甲骨で「胸を張る」
これから回転運動での左手の動きを見ていきましょう。
まず、回転運動の直前です。
さきほどの肩甲骨ロックがかかっています。
この直後から肘を矢印の方向に向けて一瞬で肘を下げていきます。
ポイントは以下の通りです。
- グローブは支点になります。
- グローブを中心にして肘を外側(背中側)に一瞬で開いていきましょう。
このようにグローブを中心に一瞬で肘を下げて外側に回していきます。
肩と肘が縦に並ぶようにしっかり肘を落としていきます。
リリース直前では、グローブはお腹の前にありますが、肘は後ろまで引ききるようにしてください。
リリース直前に肘の位置が後ろ(背中側)にあるほど腕と体幹の加速が速く1)なり、球速が上がりやすくなります。
肩甲骨ロックした状態から肘を今説明したように素早く引くことで肩甲骨が「前傾+内旋」から反対の「後傾+外旋」方向に大きく動きます。
肩甲骨が「後傾+外旋」に移動することで肩甲骨が上から肋骨を押し出すようにして
大きなしなりをスムーズに作り出せるようになります。
枝豆を指で押すと実が前に押し出されるように出てきますよね?
あんな感じで肩甲骨が上から「後傾+内旋」で肋骨を前に押し出して背骨も反りやすくなる感じです。
ただ、しなりを出す前提条件として、この記事の前半で説明したように肋骨や肩甲骨の柔軟性が絶対に必要です。
肋骨を柔らかくするには肋骨可動域トレーニングがオススメです!
下の記事の中でやり方を紹介してますので、そちらを参考にしてください。
また、肩甲骨の可動域を高める簡単ストレッチ法もまとめていますので合わせてやるようにしましょう。
まとめ
ピッチングの回転運動では全身の高速回転と胸の張りを誘導するために、左手(グラブ)の使い方がとても大切になります。
左手の使い方のポイントとしては
- 体重移動のときに肩甲骨ロックをかける
- 回転運動のときに左手(グラブ)を支点にして肘を一瞬に外側に開く
があげられます。
肩甲骨をロックした状態から回転運動が始まったときに肘を開くことで、肩甲骨も開放されて胸の張りを作りやすくなります。
胸の張りをなるべく大きくするためには
- 背骨
- 肋骨
- 肩甲骨
これらの可動域が柔らかくする必要があります。
左手の使い方だけを修正するのではなく、全身の柔軟性改善に取り組んで効率よくパフォーマンスアップにつなげるようにしましょう!
Reference
- Relationship of Glove Arm Kinematics With Established Pitching Kinematic and Kinetic Variables Among Youth Baseball Pitchers.The Orthopaedic Journal of Sports Medicine6(7).2018.1-6.
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