【丸わかり】野球の指名打者とDH制度の意味とルールを網羅解説
プロ野球中継を見ているとDH制度や指名打者という言葉を聞くことがあると思います。この記事では野球未経験の方でも分かるよう二DH制度と指名打者について解説しています。DH制度の詳しいルールやよくある疑問についての回答もしています。
指名打者にもルールがあるの?
指名打者が消滅する条件などがあるぞ
セリーグに指名打者がいない理由も解説だ
みなさんDH制度や指名打者の意味と詳しいルールをご存知ですか?
プロ野球ではパリーグがDH制度を採用していますが、難しいルールは1つもなくて知っているか知らないかの話です。
今回は野球未経験でも必ず分かるように野球の専門用語は使わずにひらたい言葉でDH制度について解説していきます。こんな方はぜひ最後までお読みください!
この記事の目次
DH制度とは?指名打者とは?
ではさっそくDH制度と指名打者について解説していきます。
DH制度の紹介
DH制度のDHはD(designated)=専用 H(hitter)=バッターの略です。
守備にはつかずにピッチャーの代わりにバッティングのときだけにプレーする選手のことをいいます。
打撃専門の選手だね
日本ではDH制度のもと試合に出場する選手のことを指名打者といいます。
指名打者はピッチャーに変わって打順に入ってバッティングをします。
何番目に打つかはそのチームで自由に決めることができます。
DH制度の歴史
DH制度は1973年にメジャーリーグのアメリカンリーグで採用されたのが始まりです。
プロ野球ではピッチャーはピッチングを専門的に行うため、バッティング技術が野手よりも劣ります。
バッティング技術に劣るピッチャーの代わって打撃専門の選手を置き、試合をよりエキサイティングなものにしようというのがDH制度の目的です。
日本でのDH制度の採用
日本の野球では競技レベルによってDH制度の採用に違いがあります。
競技レベル | DH制度の採用 |
少年野球 | × |
中学野球 | × |
高校野球 | × |
大学野球 | △ |
社会人野球 | ○ |
プロ野球 | △ |
少年野球〜高校野球
この年代ではDH制度は採用されていません。
甲子園で指名打者を見ることはありませんよね。
大学野球
大学野球ではほとんどのリーグでDH制度を採用しています。
しかし、東京六大学野球連盟(早稲田・慶応・立教・東大・明治・法政)と関西学生野球連盟(近畿・立命館・同志社・関大・関学大・京大)は採用していません。
社会人野球
社会人野球ではDH制度が採用されています。
プロ野球
日本のプロ野球では1975年からパリーグが採用しています。
一方でセリーグはレギュラーシーズンでDH制度はずっと非採用です。
レベルが高いカテゴリーではDH制度を採用する傾向がある
セリーグと指名打者制度
セリーグはなぜDH制度がないの?
野球規則6.10によると、指名打者制度を採用するかどうかはリーグの判断に委ねられています。
伝統的にセリーグの場合は指名打者制度を採用しておらず、そのまま現在に至っています。
セリーグの9か条
セリーグは以前
「なぜDH制度を導入しないのか?」
という意見に反論する形で以下の9か条にまとめて発表しました。
DH制度に反対する理由9か条
- 世紀半になろうとする野球の伝統を、あまりにも根本的にくつがえしすぎる
- 投手に代打を出す時期と人選は野球戦術の中心であり、その面白みをなくしてしまう
- 投手も攻撃に参加するという考え方をなくしてしまう
- DH制のルールがややこしくファンに混乱をおこさせる
- ベーブ・ルースやスタン・ミュージアルは投手から野手にかわって成功したのだが、そのような例がなくなる
- 仕返しの恐れがないので、投手が平気でビーンボールを投げる
- いい投手は完投するので得点力は大して上がらない
- 投手成績、打撃成績の比較が無意味になる
- バントが少なくなり野球の醍醐味がなくなる
引用元:日本野球機構
なんか強引な理由もある気がする
オープン戦はDH制度を採用
セリーグはオープン戦ではDH制度を採用しています。
その理由としてはなるべく多くの選手に実践経験を積ませ、戦力になるか判断できるようにするためです。
各チームがたくさんの野手を抱えているので、公式戦ではない開幕前のオープン戦ではDH制度が利用されています。
日本シリーズで35年ぶりに全試合DH制度が解禁
プロ野球ではセリーグとパリーグの代表チームが戦って日本一を争う日本シリーズがあります。
この試合ではセリーグ球団のホームゲームではDH制度は採用されていませんでした。
しかし、2020年の巨人対ソフトバンクの日本シリーズではセリーグのホームゲームでもDH制度を採用することになり、35年ぶりに全試合で指名打者が登場しました。
以前よりセ・リーグにもDH制度を導入することを希望していた巨人・原辰徳監督が賛同して実現したようです。
2022年時点でセリーグはシーズン中にDH制度を採用していません。
今後セリーグでもDH制度が導入されるかもしれませんね。
指名打者と代打の違い
指名打者と代打って何が違うの?
指名打者は試合開始から試合終了までに毎回打席に立ちます。
代打は本来打席に立つ選手に変わって打席に立ちます。
出場したあとに守備につかなければ、それ以降は試合に出ることはできずに打席に立つこともありません。
指名打者(DH)制度のルール
DH制度にはいくつかのルールがあるので一つずつ説明していきます。
1.指名打者を試合前に指定する
野球では試合開始前に出場選手の名前と守備位置などを書いたメンバー表を両チームで交換します。
このメンバー表に指名打者の打順と名前をきちんと書かないといけません。
試合前のメンバー表で指定しなかったのに、試合が始まってから指名打者を使うことはできません。
2.打順は固定される
指名打者の打順はメンバー表に記載された順番に固定されます。
選手が交代しても指名打者の打順を変えることはできません。
3.指名打者に代打や代走はOK
指名打者に代打や代走を起用することはできます。
ただし、この場合は代打や代走として出場した選手が指名打者になります。
4.先発の指名打者は一度は打席に立つ
先発した指名打者(試合が開始したときに指名打者の選手)は相手投手が交代しない限りはその投手と一度は対戦して打席を終了させなければいけません。
指名打者が消滅するケース
指名打者が消滅するケースを紹介しよう
- 指名打者が守備につく
- 登板している投手がピッチャー以外の守備位置につく
- 指名打者の代打や代走した選手がそのままピッチャーになる
- 登板中のピッチャーが指名打者の代打や代走として出場する
- 守っている野手のだれかがピッチャーになる
- 登板中か途中から出場するピッチャーを打順に入れる
- 試合後に指名打者の特定漏れが発見されたとき
参考文献:『指名打者』(DH)のルールについて
いずれかの理由で指名打者が消滅すると、それ以降は指名打者の打順にピッチャーが打席に立つことになります。
DH制度は必ず使わないといけない?
オーダー表に指名打者を記入しなければ、DH制度を使わずに試合をすることができます。
しかし、プロ野球などハイレベルな野球では、完全分業制となっていてピッチャーはバッティング練習をほとんどしません。
そのため、野手よりも打撃技術が劣るのでDH制度を利用するのが一般的になっています。
DH解除について
最近聞くようになった「DH解除」の意味を紹介します。
DH解除なので指名打者を使わずに試合に臨むことをいいます。
大谷翔平選手のDH解除
メジャーリーグでリアル二刀流として活躍する大谷翔平選手だからこそDH解除という言葉が使われます。
メジャーリーグでも基本的にDH制度を利用するので、ピッチャーが打席に立つことはありません。
しかし、大谷選手の場合、ピッチャーとして出場するときにバッターとしての活躍も期待されます。
そのため、大谷選手の登板試合のときに所属チームは試合開始時点で指名打者を利用しません。
これをDH解除といいます。
こちらは大谷選手が日ハム時代のスタメン発表です。
この日大谷選手は8番ピッチャーで出場していて日ハムはDH解除しています。
大谷選手が行うDH解除のデメリットを紹介します。
大谷選手が1番ピッチャーでチームはDH解除をして試合に臨みました。
しかし、大谷投手が不調で試合自体から退いたというケースです。
この場合、1番バッターが投手なので、試合終了まで大谷選手以外のピッチャーが1番バッターになります。
1番バッターは上位打線で基本的に出塁率が高い選手が入りますが、打力に劣るピッチャーが1番バッターに固定されていると、打線のつながりが弱くなる可能性があります。
このように、大谷選手のDH解除には大谷選手自体の出場状況によって、チームの打力が大きく変化してしまうというデメリットがあります。
プロ野球のDH解除
近年、プロ野球でもDH解除する場面が見られるようになりました。
しかし、プロ野球のDH解除はさきほどの大谷選手のケースとは異なります。
プロ野球2021年シーズンは例年とは違って延長戦は行わずに9回で試合打ち切り(引き分け)で行われました。
そのため、試合終盤にDH解除して守備固めをしてくるチームも出てきました。
例えば、9回表に指名打者の選手がヒットを打ったとします。
その選手に代走を出すとDH解除になります。
代走の選手がそのまま、守備について守備固めをするといった流れです。
指名打者の特徴と役割
指名打者は守備をせずに自分のバッティングのときだけ試合に出場します。
そのため、指名打者に選ばれる選手の特徴はこんな感じです。
- 守備は苦手だけどバッティングが得意
(大柄な選手や外国人選手が多いです) - ケガをしていて守備で走り回ることはできないけど、打撃は可能
傾向としては大柄な選手、外国人選手、ベテラン選手が指名打者をすることが多いです。
指名打者に多い選手の特徴
- 大柄な選手
- 外国人助っ人
- ベテラン選手
- 長討が魅力
- 守備が苦手
チームからはホームランなどの長打を期待されている場合が多いです。
DH制度のメリットとデメリット
DH制度のメリットとデメリットについてまとめてみます。
DH制度のメリット
- 多くの選手が試合に出られる
- 試合観戦がおもしろくなる
- ピッチャーの体力消耗を防ぐ
- 選手寿命が延びる
多くの選手が試合に出られる
DH制度があることで守備が苦手な選手でも活躍する機会が増えます。
より多くの選手に試合出場するチャンスが生まれるのはいいところです。
野球観戦がおもしろくなる
打撃専門の選手がいることで打線が活発になって試合中に得点が入りやすくなります。
得点がたくさん入ると試合として盛り上がるので、見ている側はより野球観戦が楽しくなります。
ピッチャーの体力消耗を防ぐ
ピッチャーが打席に入り、塁に出たらランナーとして走り回らないといけません。
しかし、DH制度があるとピッチャーが打席に入ることはないので、攻撃中に体を動かすことがなくなります。
そのため、攻撃している間に体力回復に努めてピッチングに専念することができます。
DH制度のデメリット
DH制度がないとバッティング技術が乏しいピッチャーが打席に立ちます。
ピッチャーに打席が回ったときに
- 送りバンドする
- 代打を送る
- そのままバッティングを指示 など
このように監督の采配が問われる場面になります。
もし、代打を送るとピッチャーは交代しないといけません。
打席に立たせて今のピッチャーを続投するか、代打を送って次のピッチャーに継投するかなどは試合の勝敗を分ける可能性もあり、とても悩ましい判断になります。
少し通の楽しみ方ですが、監督の判断や戦術・駆け引きを見るのも野球の面白さです。
DH制度があるとこのような野球の楽しみ方をできないのがデメリットになります。
DH制度は野球の試合を盛り上げるために重要
DH制度(指名打者)ではピッチャーの代わりに打順に入ってバッティングをするというルールです。
一回しか打席に入らない代打とは違って指名打者は試合終了まで打席に入ります。
DH制度を利用することで打線が活発になって得点シーンが増えてよりエキサイティングな試合になりやすいのが大きなメリットです。
プロ野球のセリーグでは2020年時点でDH制度は採用されていません。
DH制度がないとピッチャーに打順が回ってきたときに代打を送って次の回から投手を変えるのか、それともそのままピッチャーを続投させるのかなどベンチの采配を楽しむことができます。
DH制度の有無はどちらかが良いというわけではなく、どちらも違った視点で野球観戦を楽しむことができます。
今回の話を参考にしてDH制度の意味とルールをしっかり熟知して野球観戦を頼んでくださいね。
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