ピッチャーに必要な下半身の筋肉は?投球フォームから見てみよう!(左足編)
トレーニングしているけどピッチャーに必要な筋肉を本当に鍛えられているのか不安になることはありませんか?
今回は投球フォームの各フェーズでステップする左足の下半身筋肉がどのくらい活動しているのかについてまとめました。
トレーニングプログラムを作成するうえでの参考になると思いますのでぜひお読みください!
この記事の目次
今回お話しする筋肉について
計測している下半身の筋肉
今回は研究データを参考にして1)ピッチング中のそれぞれのフェーズでステップする左足(左投手は右足)の筋肉がどのくらい活動しているのか見ていきたいと思います。
今回見ていく筋肉は
- 腓腹筋(ふくらはぎ)
- 大腿二頭筋(太もも裏にあるハムストリングス)
- 大殿筋(お尻)
- 大腿直筋(太もも前)
- 内側広筋(太もも前の内側)
の5つになります。
左足と軸足では筋肉の働きぐあいは全く変わります。
左足だけでなく、軸足では筋肉がどのように活動しているかを知ることで、よりトレーニングの幅を広げることができます。
軸足の下半身の筋肉がどのくらい活動しているかを知りたい方は下の記事を参考にしてください。
今回の筋肉だけをトレーニングすればいいわけではありません
今回はさきほどあげた5つの筋肉を見ていきますが、当然ですがこれらの筋肉のみを鍛えればOK!というわけではありません。
ピッチング中にこれだけ筋肉が活動しているんだなあ。と思っていただければいいと思います。
筋肉の活動が高いということはそれだけその筋肉の働きが大切というとことになり、筋トレやトレーニングをするうえでの参考にしてください!
表の見方について
これから各フェーズで筋肉がどのくらい活動しているかを表で話していくのですが、その前に表の数字について簡単に説明します。
それぞれの筋肉に力が入りやすい位置で力比べをするようにしてい思い切り力を入れたときの活動を100%とします。
それと比較してどのくらいの筋肉が活動しているかを%であらわしてあります。
数値が高いほどその筋肉がたくさん活動していると思ってもらえればOKです!
投球開始(フェーズ1)での下半身の筋肉の活動
1つ目のフェーズは投球開始から左足を高く上げるまでのフェーズでの筋肉の活動を見てましょう。
ここから
ここまでです。
それぞれの筋肉の活動は以下の通りです。
腓腹筋(ふくらはぎ) | 31% |
内側広筋(太もも前) | 17% |
大腿直筋(太もも前) | 14% |
大殿筋(お尻) | 19% |
大腿二頭筋(太もも裏) | 29% |
このフェーズでは、左足が宙に浮いている状態なのでどの筋肉も数値が低くなっています。
今回のデータにはありませんが、このフェーズでは左足を高く上げるために股関節の付け根にある腸腰筋の活動が高いと思われます。
足を上げてからステップ足が着地するまで(フェーズ2)の下半身の筋肉の活動
次は左膝が1番高く上がったところから左足が地面に着地するまでのフェーズです。
体重移動のタイミングですね。
ここから
ここまでです。
筋肉の活動は以下の通りです。
腓腹筋(ふくらはぎ) | 66% |
内側広筋(太もも前) | 42% |
大腿直筋(太もも前) | 86% |
大殿筋(お尻) | 72% |
大腿二頭筋(太もも裏) | 23% |
すべての筋肉でフェーズ1よりも筋肉の活動が高くなっています。
これは、ステップした左足をグラつかずに安定した状態で地面に着地するために筋肉の活動が高くなっているためです。
回転運動をスムーズかつ爆発的にするためには、このフェーズで左足の着地を安定させる必要があるでしょう。
ステップ足が着地してからリリースまで(フェーズ3)の下半身の筋肉の活動
次は左足が地面に着地してからリリースまでのフェーズです。
回転運動のタイミングになります。
ここから
ここまでです。
筋肉の活動は以下の通りです。
腓腹筋(ふくらはぎ) | 140% |
内側広筋(太もも前) | 166% |
大腿直筋(太もも前) | 167% |
大殿筋(お尻) | 108% |
大腿二頭筋(太もも裏) | 99% |
フェーズ1、フェーズ2と比べて筋肉の活動が高くなっているのがわかると思います。
特に、腓腹筋、内側広筋、大腿直筋は100%よりはるかに高い数字になっています。
ステップ足が着地してからリリースまでに回転運動をするときに左足にかかる荷重が増えていきます。
そのときに、しっかりと左足で体重を支えて回転運動を行うためにふくらはぎと太もも前側の筋肉が大切だといえます。
左足で体重を支えることができなければ、回転運動の勢いも半減してしまいます。
フォロースルーでの(フェーズ4)下半身の筋肉の活動
最後はリリースからフィニッシュまでです。
フォロースルーのタイミングになります。
ここから
ここまでです。
筋肉の活動は以下の通りです。
腓腹筋(ふくらはぎ) | 126% |
内側広筋(太もも前) | 89% |
大腿直筋(ふともも前) | 47% |
大殿筋(お尻) | 170% |
大腿二頭筋(太もも裏) | 125% |
フォロースルーでは太もも前側にある筋肉の活動がフェーズ3よりも低くなっています。
- 内側広筋:166%→89%
- 大腿直筋:167%→47%
それに対して大殿筋が170%、大腿二頭筋が125%と太もも裏側の筋肉の活動が高くなっています。
フォロースルーでは足裏で地面を強く押して膝を伸ばす動きが重要で、この動きは球速アップに欠かせません。
この動きを行うために大殿筋と大腿二頭筋で100%を超える高い数値で活動しているのでしょう。
フォロースルーで
- 左足で地面の蹴りが弱い
- 膝の伸びが弱い
と感じている選手は太もも裏、ふくらはぎの筋肉を強化するといいかもしれません。
ちなみにいくらトレーニングしてもフォロースルーで地面を押して膝を伸ばすためにはハムストリングスの柔軟性が絶対的に必要です。
- 前屈がいかない
- 開脚ができない
- フィニッシュで太もも裏がつっぱる
このような選手は前屈専用ストレッチをやるようにしてください。
毎日やればすぐに効果が出ますよ!
まとめ
投球フォームの各フェーズで左下半身の筋肉がどのくらい活動しているかを研究データを参考に紹介しました。
左足の役割として
- 左足が着地した瞬間にグラグラせずに安定させる
- 回転運動のときに左足で体重を支える。このときは主に太もも前側の筋肉とふくらはぎの筋肉が活躍する
- フォロースルーでは大殿筋と大腿二頭筋の太もも裏側の筋肉とふくらはぎの筋肉を主に使って膝を伸ばす動きを行い、球速アップにつなげている
などが挙げられます。
ピッチング中に筋肉がどのフェーズで活動しているかを把握することでトレーニングの質も高まると思います。
ぜひ今回のデータを参考にしてトレーニングプログラムを組み直してみてはいかがでしょうか?
Reference
- Lower extremity muscle activation during baseball pitching.J Strength Cond Res.2010 24(4).964-971.
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