【目からウロコ】ピッチャーの足の上げ方の秘訣!左足を高く上げるために重要な3つのコツ
ピッチャーは踏み出し足である左足を高く上げることができると球速が上がりやすくなります。
今回、足をスムーズに高く上げるための簡単な3つのコツについて紹介しました。
普段意識することないピッチャー必見の重要ポイントとは?
球速を上げるための極論は
リリースポイントの瞬間にボールに対してどれだけ力を伝えられるか
になります。
そのために筋力、瞬発力、柔軟性、投球フォームなどなどいろいろな要素が関わっています。
その中でも投球フォームでは、ワインドアップの後に左足を上げるフェーズからいかにして球速アップにつながる動作を行えるかが大切です。
左足の上げ方がよくなければ、その時点でパワーロスになり、ハイパフォーマンスを発揮するのは難しくなってしまいます。
ということで、今回は無理なくスムーズに左足を高く上げるための意外なコツを3つ紹介していきます。
3つともみなさんが普段なかなか意識することのない部分だと思うのでぜひ参考にしてみてください。
芹田祐(セリタタスク)
理学療法士として整形外科病院・整形外科クリニックなどに10年ほど勤務。野球現場では小学生からプロ野球まで幅広い年代の選手に対して述べ1000名以上のリハビリテーション・トレーニング指導経験あり。
保有資格
理学療法士/認定理学療法士/JARTA認定トレーナー/国際認定シュロスセラピスト/修士(医科学)
この記事の目次
左足を高く上げるメリットとデメリット
ピッチャーは左足(サウスポーの場合は右足)を高く上げてからステップして体重移動したほうがパフォーマンスが上がりやすくなります。
その反面、左足を高く上げることによるデメリットもあります。
まず、そのメリットとデメリットについて簡単に紹介していきます。
位置エネルギーを獲得できる
ピッチングでハイパフォーマンスを発揮するためには、まずワインドアップで位置エネルギーを蓄え、重心移動によって効率よく運動エネルギーに変換さるせことが重要になります。
そして、踏み出し足が着地してからは並進運動を回転運動に変え、骨盤から鋭くターンすることで体幹・上腕・前腕・手へと順にエネルギーを伝えていくことで最終的にボールに対して最大限の力を加えることができます。
投球動作では重心移動による位置エネルギーの放出とともに、骨盤を中心とした体幹回旋による捻りエネルギーの活用も重要と考えられる。
そしてこれらがバランスよく連動しなければ強く投球することはできない。
引用:投球動作における肩と骨盤の捻れについて|肩関節20巻第2号
足を高く上げることでこのメカニズムの初期段階にあたる位置エネルギーをたくさん獲得することができます。
左足を上げたときの高さを利用することでより大きなパワーにつなげられることが出きます。
- 1階の窓からリンゴを落とす
- 3階の窓からリンゴを落とす
当然ですが、3階からリンゴを落とした方が加速しますよね?
ピッチングもそれと同じようなイメージです。
クイックモーションは球速が落ちやすい?
セットポジションで球速が極端に落ちる選手っていますよね。
これはさきほどの位置エネルギーが関係しています。
クイックモーションでは、足を高く上げることがないので位置エネルギーを確保することができません。
そのため、体重移動でキャッチャー方向への加速をうまくできない選手はクイックモーションで球速が落ちやすくなります。
少し話がそれてしまいますが
- 足を上げたときVSクイックモーションで球速差が小さい=体重移動での加速がうまくできている
- 足を上げたときVSクイックモーションで球速差が大きい=体重移動での加速をスムーズにできていない
ということが一つの推測になります。
当てはまる選手は体重移動のコツについてまとめた記事を貼っておくので、そちらを参考にしてみてください。
足を高く上げるとバランスがくずれやすい
次に足を高く上げることによるデメリットについてです。
足を高く上げるとその分、片足でバランスをとるのが難しくなります。
片足立ちの時点でグラグラしてしまうと、安定したピッチングを行うことはできません。
そのため、ピッチングのパフォーマンスを高めるためには
安定した状態で左足を高く上げて位置エネルギーを得る
ということが大切になります。
足を上げたときにグラグラしてしまう原因はいくつかあるのですが、1番の原因は
股関節の柔軟性低下です。
股関節の柔軟性がないのに、足を高く上げようとすると無理やり持ち上げる形になるので、余分な力が入りますますし、足元を安定させることはできません。
足を高く上げるために最低限これだけはやってほしい!というストレッチをこれから紹介していきますのでぜひ取り入れるようにしてください。
股関節が固い選手が柔軟性を改善せずに左足の上げ方だけを修正しようと思っても、なかなかうまくいかないのでまずは最低限の柔軟性を確保するようにしてください。
これだけはやってほしいストレッチ
ということでこれだけはやってほしいストレッチを紹介していきます。
軸足付け根のストレッチ
まず、一つ目の場所は軸足の股関節の付け根です。
左足をあげていくと、軸足の付け根の筋肉が伸ばされていきます。
そのときに、付け根の筋肉が固いと軸足の膝が折れやすくなるなど片足立ちのバランスが悪くなってしまいます。
それではストレッチのやり方を紹介します。
- 伸ばす側の足を大きく後ろに引く
- 反対足の膝は立てておく
- 腰はまっすぐのまま、へそを前に出すように体重移動をして後ろ足の付け根を伸ばす
- 40秒×3セットずつ
このストレッチでは股関節の付け根にある腸骨筋を伸ばすことができます。
腸腰筋という筋肉を聞かれたことがある方も多いと思いますが、この腸腰筋は
- 腸骨筋
- 大腰筋
- 小腰筋
という3つの筋肉の総称になります。
付け根の筋肉をまんべんなくストレッチするためには腸骨筋と大腰筋(小腰筋)のストレッチを分けて行う必要があります。
大腰筋(小腰筋)を集中的に伸ばすストレッチのやり方は以下の通りです。
- まず、腸骨筋ストレッチの姿勢を作る
- その状態から後ろ足の腕耳につけるように上げる
- できるだけ身体を横に倒してその位置でキープする
- 40秒×3セットずつ
腸骨筋ストレッチは股関節付け根が伸びる感じがしますが、大腰筋ストレッチは脇腹や下腹部あたりから股関節付け根まで広範囲に伸びる感じが出る
ステップ足お尻周りのストレッチ
二つ目が左足のお尻周りです。
左のお尻周りにある筋肉が固いとスムーズに足を高く上げることはできません。
無理やり左足を上げるとバランスは崩れやすくなります。
左のお尻周りが固くなると、回転運動で身体を鋭くターンさせることも難しくなるので、ピッチャーは必ず柔らかくするべき部位です。
ストレッチ方法は以下の通りです。
- 伸ばす側の足をあぐらをかくようにして開く
- 反対足は大きく後ろに引く
- 重心をなるべく低くしてお尻周りを伸ばしていく
- 40秒×3セットずつ
- へそは下向きのままにする
- 伸ばす側の膝は直角にする
このように伸ばす側の膝が直角以上に曲がってしまうと、ストレッチがかからなくなります。
お尻周りが固い選手は膝が曲がり過ぎることが多いので注意してください。
足を高く上げるコツ3選
これから足を高く上げるためのコツを紹介していきます。
ただし、さきほどの股関節の柔軟性が固い選手が足の上げ方だけを修正しても投球フォームは改善しません。
そのため、まずは大前提となる股関節の柔軟性を高めてからこれから紹介する内容を実践してみてください。
骨盤と背中を丸める
1つ目のコツは骨盤の使い方についてです。
少しだけ専門的な話をしながら説明していきます。
ピッチャーが片足を上げるときの動きは運動学的に股関節の屈曲といいます。
この股関節屈曲は足の動き(①)だけでなく、骨盤の動き(②)も関わります。
股関節屈曲をしたときのこの足の動きと骨盤の動きを細かく解析した研究があるのですが、その結果は以下のとおりだったそうです。
股関節屈曲角度に占める骨盤後方傾斜の割合屈曲角度が増すに従い、大きくなった。
最大屈曲では127.6°の可動域のうち、骨盤後傾量が11.4°で全運動の1/11が骨盤後傾によるものであった。
数字が並んでいてよく分かりにくいと思いますが、ざっくりいうと
- 足を高く上げるほど骨盤の動きが重要になる
- 足を1番高く上げたときはその1/11が骨盤によるもの
こんな感じです。
見方を変えると骨盤を後ろに傾むけることができていないと、スムーズに足を高くあげることは難しくなります。
ちなみに、足を上げるときに骨盤も連動して動くことを骨盤大腿リズムといいます。
下の動画が骨盤大腿リズムについてとてもわかりやすく解説されていたのでぜひご覧ください。
ということで足を上げるときに骨盤を後ろに傾けて足を上げると高い位置まで持ち上がりやすくなります。
骨盤を後ろに傾けるというとイメージしずらい方は少しだけ骨盤と腰のあたりを丸めるようにすると骨盤後傾が出やすくなります。
はじめは骨盤に手を当てて後傾方向に誘導しながら足を上げる練習をすると感覚をつかみやすいのでぜひチャレンジしてみてください。
片足を上げるときの骨盤の使い方はケガの発生とも関係しているともいわれているので、骨盤をコントロールして足を上げる練習はしっかり習得するようにしましょう。
足を上げたときに骨盤のコントロールができていないとケガしやすい
引用:Lumbopelvic control and days missed due to injury in professional baseball pitchers|Am J Sports Med
MLB最速といわれているチャップマンも足をかなり高く上げてから体重移動を行います。
そのときの骨盤の動きをみてみると、瞬間的に骨盤が後傾して骨盤が丸まっています。動画を貼っておくので参考にしてみてください。
軸足の反発力を使う
二つ目は軸足の使い方についてです。
ワインドアップでは軸足をつくときに足裏全体ではなく、つま先が先行して着地します。
その直後に足裏が着地します。
この足裏が着いた瞬間に地面を強く押すことで地面からの反力をたくさんうけることができます。
その反動を利用することで左足が高く上がりやすくなります。
地面を押すときに1つポイントがあります。
それは、足裏の真ん中あたりに体重をかけて瞬間的に地面を強く押すということです。
つま先やかかとに体重がかかりすぎると、片足立ちをしたときのバランスが崩れやすくなりますし、地面を押す力も弱くなりやすいので注意しましょう。
最初から足の裏全体が地面に着地しているセットポジションでも同じです。
セットポジションでは左足を上げる前にかかとを浮かせ、その直後にかかとを落とす勢いを使うこと出地面を強く押すことができます。
そうすることで、ワインドアップと同じように地面からの反力を受けとることができ、足も高く上げやすくなります。
佐々木朗希選手の投球フォームをよくみてみると、投球動作のはじめにカカトを少しだけ浮かし、地面を押しやすくしています。
投球フォームは自分の筋力や可動域だけでなく、地面からの力を有効活用するということが重要です。
左足を【遠回り】で上げる
最後は左足の上げ方についてです。
上の写真のように左足を上げるときに少しだけ自分の体から遠回りに上げることをオススメします。
左足を遠回りで上げることによって骨盤後傾が出やすくなります。
骨盤コントロールのところで説明したように足を高く上げるためには骨盤後傾の動きが重要です。
左足を遠回りで上げることで骨盤後傾が自然に誘導され、結果的に足もスムーズに高く上げることができます。
反対に足の上げ始めで直線的に真上に近い軌道であげてしまうと、骨盤後傾の動きは出にくくなります。
骨盤の動きが少なく、足だけの動きになってしまうと、上げている途中で骨盤と足の付け根が詰まってしまい、足の上がりが悪くなってしまいます。
実際に2つのパターンで足を動かしてみると、遠回りで上げたほうが軽く足を上げることがよく分かります。
ぜひ自分のピッチングフォームにも取り入れてみてください。
まとめ
左足を高く上げることで球速UPの要素となる位置エネルギーをより多く得ることができます。
左足を上げるためのポイントは以下の通りです。
- 骨盤を丸めて骨盤後傾を促すことで無理なく足を上げる(骨盤大腿リズム)
- 軸足で地面を押して地面反力を有効活用する
- 左足を遠回りに上げて骨盤後傾を出しやすくる
足を高く上げるためには左足だけでなく、骨盤の動きも大切になります。
骨盤と足の動きが連動すれば、おのずと足は高く上げることができるようになります。
今回紹介した3つのコツはすぐにでも実践できる内容なので、みなさんぜひ原理を理解したうえで取り組んでみてください!
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